実は意味が深い?結婚式の招待状の暗号

結婚式の招待状は、単なる「日時と場所のお知らせ」ではありません。その文面には、長い歴史と文化的な背景があり、新郎新婦の気遣いや相手への敬意が込められています。一見シンプルに見える言葉の中にも、実は深い意味が隠されているのです。
この記事では、そんな結婚式の招待状に込められた「暗号」のような表現や、言葉選びの由来、そして返信ハガキでの注意点までを詳しくご紹介します。

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目次

1. 忌み言葉を避ける理由とは?

日本の結婚式において、「縁起」はとても大切にされる要素です。そのため、結婚式の招待状にも不吉とされる言葉は使われません。代表的なのが「切れる」「終わる」「別れる」「戻る」などの忌み言葉。夫婦の関係を連想させるこれらの言葉は、「別れ」をイメージさせるため、極力避けられます。
また、「重ね重ね」「再び」などの重ね言葉も、「再婚」を連想させるとしてタブーとされています。言葉一つにまで気を配るのは、日本独自の繊細な文化の表れと言えるでしょう。

2. 招待状には句読点を使わない?

結婚式の招待状には、基本的に句読点(「、」「。」)が使われません。その理由は「終止符を打たない」=「縁が続く」という意味合いが込められているからです。また、句読点がないことで文面が柔らかく、格調高く感じられるという効果もあります。
文章の区切りはスペースや改行で調整されており、一見読みづらく感じるかもしれませんが、それもまた伝統的な形式のひとつです。

3. 頭語と結語のマナー

格式を重んじる結婚式の招待状では、文の最初に「拝啓」や「謹啓」などの頭語、最後に「敬具」や「謹白」などの結語を添えるのが通例です。これらは、受け取る相手への敬意を示す日本語特有の慣習。ビジネス文書と同様に、誤った組み合わせをしないように注意が必要です。
たとえば、「拝啓」と来たら「敬具」、「謹啓」と来たら「謹白」や「謹言」が適切です。

4. 時候の挨拶にも意味がある

春には「陽春の候」、夏は「盛夏の候」、秋には「錦秋の候」、冬には「厳寒の候」など、季節ごとに変わる「時候の挨拶」も日本ならでは。これにより、形式的な文章の中に温かみや季節感が加わり、より丁寧な印象を与えることができます。
​​こちらの時候の挨拶は「招待状が招待客の手元に届く季節」で設定するのが一般的です。

5. 返信ハガキのマナーと注意点

5-1. 「行」「宛」を「様」に直す

返信ハガキの宛名には、「〇〇様行」「〇〇様宛」などと記されていますが、これは自分が出す側に対して敬称を使っている形です。したがって、返信時には「行」「宛」を二重線で消し、「様」に書き換えるのが礼儀とされています。

5-2. 「御」「御芳」は消して「出席」「名」へ

裏面の項目にある「御出席」「御欠席」「御芳名」「御住所」などの「御」「御芳」も、自分に対する敬語になってしまうため、二重線で消してから記入します。たとえば「御出席」は「出席」にしてから、「喜んで出席させていただきます」などと書き添えると、丁寧な印象になります。

5-3. 出欠の書き方例

・出席の場合:「慶んで出席させていただきます」「喜んでお伺いさせていただきます」
・欠席の場合:「誠に残念ながら欠席させていただきます」「やむを得ない事情により欠席いたします」

理由を書く際は詳細を述べる必要はなく、やわらかい表現を使いましょう。

5-4. お祝いの一言メッセージ

返信ハガキの余白に、新郎新婦へのお祝いの言葉を書くのも良いマナーです。たとえば「末永いお幸せをお祈りしております」「素敵な門出になりますように」など、短くても心のこもったメッセージは喜ばれます。親しい間柄なら、「高校時代の思い出が蘇ります」「これからも笑顔あふれる家庭を築いてくださいね」など、少しカジュアルでも問題ありません。

6. 招待状に隠された「暗号」を読み解く楽しみ

このように、結婚式の招待状にはさまざまな言葉の「暗号」が隠れています。受け取った側も、それに込められた意味を知ることで、新郎新婦の丁寧な気持ちや配慮をより深く感じられるはずです。
古くから受け継がれてきた招待状の書式やマナーは、ただの形式ではなく、「幸せな人生のスタートを丁寧に伝えるための文化」です。
最近ではweb招待状という形式も多くなり、ネット上での招待状やりとりもあるかもしれませんが、「暗号」については今までどおりの慣習に倣っております。
これから招待状を出す人も、受け取る人も、その背景にある思いやりにぜひ気づいてみてください。

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